(日本語) 自転車ビジネス最前線 -スタートアップ編-
(日本語) 自転車ビジネスにチャレンジする意義
変化を楽しみながら、新しい事業にも果敢にチャレンジしているジヤトコ。今号は、先月に続き、2024年に量産化を目指す自転車ビジネスに挑むチームへのインタビュー。後半号はビジネススタートアップのお話。ジヤトコが自転車ビジネスに挑む背景にはどのようなドラマがあったのでしょうか?
(日本語) メンバー紹介
(日本語) Fig1. 左から新規事業推進部の岡本さん(プロジェクトリーダー)、稲岡さん(営業担当)
(日本語) ある夜、焼肉屋での出来事
岡本:話はさかのぼること3年半前、コロナが流行り始めたくらいの時期だったと思います。ガラガラの焼肉屋で佐藤さん(CEO)と夕飯をご一緒した時、「岡本君、この変革期の自動車業界、コロナでサプライチェーンも大きく変化し、働き方も大幅に変化していく必要がある、これまでの常識が変わるこんな時期だからこそ、ジヤトコは自動車産業のみならず、他業界も含めた新たな事業にチャレンジするべきだと思うんだ」と。しかも、「新しい事業は、やっぱりジヤトコだから、できればタイヤがついている乗り物、モビリティがいいな。電動化が進むとCVT/ATと違って構造が簡素化されるよね。その簡素化されたモノの相似形で、クルマ以外のモビリティへの価値貢献ができるものが理想だよね」と真面目な顔で佐藤さんが言うのです。そこから新しいビジネスの可能性を模索し、モビリティの市場動向を探りました。
(日本語) Fig2. 岡本さんと佐藤さん、焼肉屋での1コマ
(日本語) マーケティング初体験
入社してからこれまでCVTとAT畑で育ってきた私は、マーケティングについて未経験でしたので、いろいろと勉強しながら、まず4つの視点で市場調査を行いました。
(日本語) 市場調査4つの視点
- (日本語) ① 現在の市場規模、今後の市場の伸び代はあるか?
- (日本語) ② 客層、ニーズはあるか?
- (日本語) ③ 競合となる企業はどこか?
- (日本語) ④ どのフィールドで戦うのか? ジヤトコは勝てるのか?
大きなモノから小さなモノまで、幅広くモビリティの市場動向を検討した結果、電動アシスト自転車のビジネスに辿り着きました。 電動アシスト自転車はその利便性のよさから、一度使用したユーザーがリピーターになる特徴があり、今後も市場が右肩上がりに成長していくと予測されること。SDGsの点で、CO2をほとんど排出することなく、年齢性別問わず幅広いユーザーが遠くまで移動できるモビリティであることも大きな決め手となりました。
(日本語) Fig3. 拡がるモビリティの可能性
また、ジヤトコが電動アシスト自転車ビジネスを始めるにあたり、「ただ自転車を売るのではなく、ジヤトコのパワートレイン技術を活かした価値ある製品を生み出し、お客さまに喜んでいただく」という考え方を一番大切にしました。特にマーケットとターゲットとするお客さまについては、多角的な視点で考えました。
(日本語) マーケティング結果(2020年時点)
(日本語) 視点① 勝負する市場
日本市場からスタートする。新規に参入する業界でただでさえ情報入手しにくい、何が正しい情報か分かりにくい中、海外からスタートするには、リスクが大きいと当時は判断しました。まずは日本のお客様から学ぶ必要があると。
(日本語) 視点② お客さまターゲット
客さまを4つのグループに分類し(大手メーカー、ホームセンターメーカー、卸売りメーカー、小規模メーカー)、攻めどころを検討。台数が期待できる大手メーカーですが、電動ユニットは内製品を使っているところも多く、厳しい価格が求められる特徴があります。ホームセンター系も同様に、自転車の車両価格自体が低価格であり、非常に厳しい要求がされることは見えていたため、台数は少なくても、大手とは異なるデザイン面や利便性をコンセプトにした卸売りA社と、静岡県に拠点を構える小規模メーカーB社を攻めどころとし、コネクション探索を実施しました。
(日本語) Fig4.自転車のマーケット推移:電動アシスト自転車の市場は右肩上がりが期待されています!
※出典:経済産業省ホームぺージ
(日本語) 当たって砕けろ精神と足で稼ぐ情報
次はどのようにお客さまとコンタクトするか? 最終的に従来から取引のある銀行さまの紹介で繋がることができました。時間をかけても新規参入する私たちのマーケティングシナリオが正しいか分かりませんので、「当たって砕けろ」精神で、すぐにお客さまとコンタクトすることを最優先に考えました。 実際に一度目のコンタクトで「モーターと減速機をつけ、変速機構のない仕様」をお客さまに提案したのですが、「せっかくジヤトコさんと一緒にやるのに、ドライブユニットに変速機を入れないのは御社の強みも活かせないし、既存のドライブユニットと差別化もできない。コスト勝負になってしまうので面白くない」と厳しいお声もいただきました。
稲岡:その後、お客さまの声や市場ニーズをさらに調査していくのですが、ここでも自動車業界にはない苦労を経験しました。自動車の関連情報を得る手段はたくさんあり困ったことがなかったのに、自転車に関する情報を手に入れる手段があまりないのです。新規ビジネスの情報は「足で稼ぐ!」ことを学びました。 自転車メーカーのニーズに加え、メインターゲットとしたい女性ユーザーのニーズを得るために、さまざまな企画を実施しました。 実際に自分たちが作った自転車に乗ってもらい直接意見をもらう機会は、とてもやりがいを感じる瞬間でもありました。
(日本語) 取り組んだ方策
(日本語) ①電動アシスト自転車に関心の高い母親層の意見ヒアリング
ホームセンターの自転車コーナーに来場したお客さまへ直接コンタクト。
(日本語) ②イベント出展
より多くのエンドユーザーに試乗していただく機会を提供。 →富士山メッセ(静岡県富士市)で開催したイベントで試乗会を実施した際も、好評でした😊
(日本語) ③メディアへの出演
最近ではメディアへの露出も増えています。先日はNHKとテレビ静岡の取材を受けました。どんどん知名度も上げていきたいです!
(日本語) Fig5. イベントの様子(富士山メッセ)
(日本語) Fig6.テレビ取材の様子
(日本語) 新規ビジネスはOne JATCOで挑む
岡本:これまで道なき道を歩んできた自転車ビジネスですが、当然私たちだけで進めてきたわけではありません。自転車ビジネスは、プロセスも、スケジュールも、台数規模も、部品調達先も、開発技術も、生産技術も、本当になにもかもが自動車ビジネスとは違います。開発部門、調達部門、生産部門、その他の部門も一緒になって、まさにOne JATCOで進めています。 苦しい場面もありますが、一緒に夢を追いかけてもらって感謝でいっぱいですし、今後の新規ビジネスでも同じことが起こると思うので、参考にしてもらえたら嬉しいです(笑)
(日本語) 拡がる可能性
岡本:最終的に2in1のドライブユニットとなりましたが、これはまだ序章に過ぎません。 現行のドライブユニットはATの構造を転用した構造で作っていますが、小型化する第二世代のドライブユニットでは、トランスミッションにはない、新しい構造を用いています。(特許出願中) このように、自転車という新事業にチャレンジすることで、既存ビジネスにはない新しい発想のモノが生み出され、それを電動パワートレイン事業にフィードバックする。それをまた新しいモビリティの可能性を拡げる新事業に活かす。このような相互のビジネスで好循環を生み出し続けることができれば、ジヤトコのビジネスの可能性は大きく拡がっていく。そんな未来を目指して、まずはこの自転車ビジネスをモノにしていきたいと思います! 皆さん、一緒にこのビジネスを応援してください‼
(日本語) Fig7.
(日本語) Fig8. 7月には日産自動車㈱内田CEOにも試乗していただきました! 説明、緊張しました(笑)