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(日本語) 似顔絵スペシャリスト
似顔絵は「心のよりどころ」として自分を支えてくれるもの

誰が見ても永野芽郁さん、というより、写真よりも本人らしい。これが似顔絵です。第二加工技術課の鵜飼達也さんの作品のひとつです。今回は、これまで300枚を超える似顔絵を制作し、病院における個展や職場での掲示など、似顔絵スペシャリストとして有名な鵜飼さんにお話を伺いました。似顔絵を描き始めたきっかけや日々の研鑽、似顔絵で貢献したいことなど、話題は人生にまで及びました。

(日本語) 第二加工技術課 鵜飼さん

(日本語) 似顔絵は出来栄えが誰にでもわかります

私が最初に似顔絵を本気で描いたのは、美大を受けてみようかな?と思った18歳のときでした。もともと絵を描くことは好きでしたが、自分の実力を測るために似顔絵を描いてみたのです。風景画は良し悪しが分かりにくい、いわば自己満足の世界に感じられ、似ているか似ていないかの出来栄えが一発でわかる似顔絵で自分の力量を測ろうと思ったのです。結果として機械工学の道に進みましたが、それからもたまに似顔絵を描いていました。

一気に描きだしたのは10年前です。とある似顔絵講座の案内の似顔絵を見て「やっぱりプロはちがうなあ」と感銘を受け、受講してみることにしたのです。そのスタジオは浅草に本店があり、テレビなどにもよく取り上げられていて、受講料は月に5,000円、3枚の似顔絵を提出して、添削を返してくれるというものでした。「こんなにも指摘されるんだ」というくらい多くの指摘を受けて自信をなくすこともありましたが、その講座が終了してしまうまでの5年間に合計180枚の似顔絵を描き上げました。

(日本語) 富士市立中央病院 似顔絵展示コーナー

(日本語) 今もその講座の添削を見ながら勉強を続けています。昨年11月には富士宮病院、今年の6、7月には富士市立中央病院で作品を展示しました。知人からの紹介で病院のギャラリーのスケジュールに空きがあるというので展示してみたのです。なにか大きな反響をもらったわけではないのですが、私の似顔絵を見ながら「似てる!」「おもしろいね!」なんて言ってもらえるのはとてもうれしいですね。

(日本語) 似顔絵の描きかた

似顔絵を描くにあたっては、まずモデルの選定ですね。今が旬な人を選ぼうと思いますが、描いていて楽しくなれる人、つまりは好感を持てる人でないと難しいですね。次にベースとなる写真を選ぶのですが、芸能人でもその人のイメージが感じられる写真を探すのはとても難しいです。10枚に1枚あるかないか。そういう写真を見つけるまでが一番苦労します。

(日本語) 作画では、A4のケント紙にシャープペンシルで大体の形をとっていきます。そのときにその人の特徴を3つ挙げておき、そこを描くようにしています。特徴を明確にすることはとても重要なポイントです。そうすることで下書きの段階でかなり似ている絵になっているのです。彩色は「コピック」というマーカーを使っています。必要があればそれにプラスして色鉛筆を少し使います。



道具にはこだわりはありません。最初の頃にはアクリル絵の具を使っていましたが、講座でコピックを知ってからは手軽で使いやすくて愛用しています。シャープペンシルも普通のHBを使っています。



描きやすいのは顔のパーツに特徴のある人。整っている人は描きにくいです。泉谷しげるさんは描きやすく、永野芽郁さんは難しいと言ったらわかりやすいですかね。

私、剣道をやっていまして、週3回、富士市の道場と沼津市の道場に通っています。「人に迷惑をかけない」「弱い人に対して気を配る」「いつも謙虚に学ぶこと」を自分で実践し、道場で子どもたちに教えています。剣道を通して子どもたちを育てたい。SDGsって最近言われていますが、あれって昔から日本人がやろうとしていたことなんじゃないかと思います。

今、5段で来年昇段審査がありますが、同じ道場で昇段した人には、昇段記念に似顔絵を描いてプレゼントしています。芸能人、有名人だけでなく、依頼をいただいた個人の方の似顔絵も描いています。似顔絵を描いていてよかったと思うのは、絵を渡して喜んでいただけたときです。お世辞ではなく「いいねぇ」と言ってもらえると、やりがいを非常に感じます。また、自分で納得できるいい絵ができたときには、やり遂げた感を感じます。

自分ではヘタでも描くことができればいいと思っています。長い人生の中で、辛いときもありました。でもそんなときでも、似顔絵を描いていると別の世界に没頭できるんです。生きていくうえで不安になるとき、この先どうする?って思ったりしたとき、絵や剣道が心のよりどころとなり、信じる道を進めばなんとかなるだろうという気持ちにさせてくれました。そして結果的に自分のコミュニティを広げてくれました。

自分には似顔絵があるって、とてもすばらしいことだと思います。これを活かして皆さんに喜んでもらえたら自分もうれしいです。展示をするのも、依頼を受けて描くのも、自分ができることをやる、ちょっと使命感みたいなものも感じています。最後に行きつくところは「心のよりどころ」なのですが。
これからも、ずっと描き続けたいと思いますし、定年後は似顔絵教室などができたらいいですね。

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