(日本語) 「エンジニアたちよ、誇りを持て」 ~高橋フェローに聞く”Back to engineer”(後編)~
高橋フェローに聞く”Back to engineer”インタビュー。高橋さんの知られざるキャリアヒストリーをお届けした前編に続き、後編では高橋さんの”Back to engineer“に込めた想いに迫ります。技術に直接関わる仕事をしている皆さんに限らず、ジヤトコの将来を担う全社員に贈る高橋さんのメッセージです。
(日本語) モノづくりの原点、エンジニアリングを育てる
今フェローという役割に就いて改めて思うのは、モノづくりはエンジニアリングそのものだということです。私の使命は、今まで以上にいろいろな場面に入り込んで、ジヤトコの技術を強くすることだと考えています。「仕事力」「人間力」「技術力」、これらが少しでも変わるきっかけをつくりたい。それを日々の仕事の中でやる。日常のBack to engineerです。それにはやはり、顔の見えるコミュニケーションが大切だと思いますね。個人でできる会社の仕事はありません。とくに、自動車産業のモノづくりの基本には、集まる意義があります。システムが進歩してできることが増えても、今まで以上に成長するには、何かしらのコミュニケーションがないとできません。
(日本語) 考える力を鍛える。エンジニアは想像力
エンジニアは想像力です。不具合が出ると、何でこんなこと考えなかったのか、ってすごく後悔する。当たり前だけど、それが不具合です。エンジニアとしての想像力が足りない。「だろう運転」はするけれど「かもしれない運転」をしていない。誰が考えるかも含めて、皆で考えていなかったよね、ということです。不具合対応は大変な仕事ですが、これほど想像力が必要な場面はありません。何であのときそう考えなかったのか、そこに解があります。資料作りや調整はDX活用などできるだけ工夫して、エンジニアは自分の頭で考える。何を考えればよかったのか、その想像力を鍛えていくと物事が分かるようになります。
(日本語) e-Axleのその先へ。電動化の世界
電動化ビジネスの展望や将来性についてよく聞かれます。まずは日産とやっていこうということになった。今はアライアンス以外のビジネスも含めて目の前のやるべき仕事をしっかりやろう、と。その後には、e-Axleだけではない世界が拡がっています。生産か、システム開発か。熱マネジメントとか、システムインテグレーションにもオポチュニティ―はある。数十年後の自動車産業の業態がどうなっているかは分かりません。それでも、エンジニアリング、モノづくりの原点である技術力をしっかり育ててコンピテンシーを磨いておけば、不安になることはありません。決まってないことを不安に思っても仕方ない。ただし、リスキルは大切です。ずっと今のままでいけるとは思わないでほしい。会社に助けてほしいことははっきり言わないと、でも最後は自分自身です。
(日本語) 自分ならではの何か、が進歩につながる
皆さんには、自分の得意なものをみつけてほしいです。それがないと生きがいがないし、言われたことだけをやっていてもおもしろくない。自分ならではの何かを持っていないと、人に影響を与えることもできません。俺の言うことを聞け、基準書通りにやれ、という時代もありました。それはいいかもしれないし、悪いかもしれない。ただ、問題が起こった時にエンジニアの当事者意識がなくてはダメだし、誰でもできる基準通りの仕事から付加価値は生まれません。「俺(私)はこうしたかったんだ」ということが少しでも仕事に入っていれば、それが選ばれるとうれしいし、自分の自信や次の進歩につながります。それは、皆さん一人ひとりのBack to engineerでもあります。
(日本語) ジヤトコエンジニアリングの規模感はちょうどいい
組織が大きくなると分業が進んで当事者意識も薄くなりがちです。その点、ジヤトコエンジニアリングはちょうどいい規模感。開発、生産、品証、リマンなどすべての機能があって、アフターセールスまで一気通貫でできる小さなユニット生産会社です。ライフエンドだけじゃなく、電動化だって頭出しは少量。大規模な設備投資ができないものは手組でやれるかもしれません。手に職をもった匠がジヤトコエンジニアリングにはいます。ひとりでユニットを組める人は業界でもそうはいません。自動化もあるけれど、これからは軽薄短小の世界。大きな投資を何年もかけて回収するのではなく、小さく回して、どんどん変化していくのが電動化の時代です。ジヤトコエンジニアリングはそういうところが得意な会社。管理職の皆さんにはいろいろなアイディアを出してもらっています。
(日本語) 誇りを持つことが、成長への近道
会社に入って何年で一人前か。組織の中で主管になってその道のトップだとすればだいたい30年。そんなに待っているといやになるし、今はそんな時代じゃない。クロックをどんどん早く回して、皆さんには5年で一人前になる気持ちでがんばってほしい。会社で一人前になる近道は、自分がエンジニアであることに誇りを持つことです。自然科学の正しさは職位に関係ない。Back to engineerは、「正しいことが正しい」世界です。特に若い人たちには、自分の得意な世界で、自分の頭で考えて、誰に遠慮することなく、自らどんどん答えを導きだしてほしい。そうなることで、ジヤトコのエンジニアリングが強く成長して、次世代につながることが、私が実現したいBack to engineerの世界です。
(日本語) インタビューを終えて
高橋さんのお話には、「顔の見えるコミュニケーション」「当事者意識」そして「科学技術は正しいものが正しい」という言葉が何度も繰り返し出てきました。そこに、ご自身の経験の中で培われた、基本は現場とチーム、その中で一人ひとりがしっかり考えて自信の持てる答えにたどり着くことが、エンジニアリングの未来につながるという、強い信念のようなものを感じました。「技術力を育ててコンピテンシーを磨けば不安になることは何もない」という高橋さんの言葉に、社員の一人としてジヤトコの進むべき道が見えた気がしました。(グローバル広報部)
(日本語) 付録:高橋さんの秘蔵写真
終わりに、今回の取材を通じて入手した「高橋さんの秘蔵写真」をご紹介します。会社での高橋さんからは想像がつかない、意外な一面がみられるかもしれません。是非ご覧ください。