TAって何だ?トップを支える魅力とは
TAというお仕事をご存じですか? TAとはTechnical Assistant(テクニカルアシスタント)の略で、社長や会長ら役員の仕事を技術面でサポートする業務を指します。社内外向けの資料やメッセージの作成など、ジヤトコにとって重要な業務を幅広くカバーしています。 日産自動車グループならではのユニークな業務を、4月から担当する経営企画部の石井さんと、過去の佐藤社長TAの皆さんに、その仕事内容と魅力について語ってもらいました。
経営企画部 石井さん
佐藤社長TA(2025年4月~)

刺激が多い日々を過ごす石井さん
Q.TAとはどんなお仕事ですか?
最初のイメージは社長のサポートでした。TAは社長ご自身になりきることと、社長のメッセージを受け止める側の両方を想像しないといけません。色々な立場で社長と接さないといけない難しさは感じています。 私は入社以来、原価・財務部門の原価企画部員として20年過ごしてきましたが、原価企画部時代はプロジェクトグループにいて、生産開始までの節目ごとにコスト確認するのが主な業務でした。 TAは正直、今までに経験したことがない業務なので、必死さの方が強いです。
Q.TAで苦労したこと、達成感を感じたことは?
2つあって、1つはビジネスマナーです。以前、他社を訪問した際に手土産を自分で渡してしまいました(笑)。 2つ目は秘匿の管理です。資料や原稿の確認などは法務知財部やグローバル広報部に確認しています。最近で達成感があったものとしては、日産の社長になられたエスピノーサさん向けの説明資料を40ページほど作ったことです。見栄えとシナリオを3週間くらい佐藤社長と本田会長とすり合わせました。大変でしたが、当日はうまく話が進んだようです。
Q.TAで学んだことは?
先ほど申した通り、意識しなければならない視点の多さには苦労しているものの、経営のど真ん中にいることはやりがいでしかないです。 原価企画部時代は数字を中心に結果から述べることを意識していたのですが、社長として話しかける相手は「何を知りたいか」を既に持っているので、そこまで想像して資料を作らないといけません。今は週1回のペースで資料を作っていますが、すごく時間使っています。アイデアが浮かばない場合、1回あきらめて風呂に入ってリラックスしてみると思いつくこともあります。 また、秘書さんには、いつも支えられています。特に4月は右往左往していたので、頼るばかりでした。本当に頭が上がりません。

ジヤトコ メキシコ社出張時の石井さん(後列左から2人目)
Q.TAを目指す人にメッセージをください。
個人的には、TAはある程度早い段階でも経験したほうがいいと思います。入社10年目くらいまでは「何かを極めたい」と思う人がいますが、早い段階から会社の情報を知ることが出来るのは大きいです。 また、社長の一番近くにいることで社長のスキルや喜び、悩みも両方見られます。 TAは指名制ですが、手上げという方法もありかもしれませんね。ぜひ、色々な人に経験してほしいと思います。
現経営企画部 佐久間さん
中塚前社長TA(2019年4月~2021年11月)、佐藤社長TA(2021年12月~2022年3月)

中塚前社長のTAの皆さん。右から2人目が佐久間さん
TAの魅力は、社長のすぐそばで働けることです。会議に同席し、経営者の視点に触れたり、自分のアイデアや資料に社長から直接フィードバックをもらえたりするのは、他では得られない貴重な経験でした。 一方、社長が求める高い質と圧倒的なスピード感に応えるのは常に大きな挑戦でした。中でも4半期に一度、経営陣が従業員に発信する経営メッセージであるGEM(Global Employee Meeting)の資料は、各スライドの読みやすさに加え、全体のストーリー構成を緻密に組み立てる必要があり、とても難しかったです。 3年間の経験を経て、過程よりも「結論は何か」をシンプルに伝えることの重要性を学びました。ロジ(会議室・会場準備・動線・進行の事前準備のこと)では一秒の無駄も許されず、完璧な段取りと現場の事前確認の重要性を強く実感しました。今では良い思い出です。
現CTOオフィス 渡辺さん
佐藤社長TA(2022年4月~2023年3月)

ジヤトコ フランス出張時の渡辺さん(前列左)
一言で言うと視野・知識を広げられることが魅力です。 TA業務を通じて様々な分野、職位の方とコミュニケーションを取らせてもらい、表面的な業務以外にも物事に対する考え方や姿勢などを学べました(もちろん佐藤さんからも)。今回の記事発行の目的にもある通り、TAの業務が謎だらけなところ(笑)、、、、ではなくて、言葉(特に専門用語)を理解・腹落ちさせるのに苦労しました。 私は入社してから約20年開発畑(特に実験にいる期間が長かった)で育っており、他部門のことはあまり知らない状態でTAをやらせてもらったので、最初は状況把握ができない状態でがむしゃらにやっていました。その状況や情報をバックグラウンドも含めて理解すること、またそれをつなげて先を見通すことを学びました。最初は佐藤社長が何をおっしゃっているのか理解できない状態でしたが、素直に「分かりません」「○○ということですか??」と聞いてみると、バックグラウンドも含め丁寧に教えてもらえました (ジヤトコは人間味ある(温かい)人が多いなとも感じられました) 。そうしていく中で、徐々に点だった情報がつながりはじめて、理解することができました。先読みまでできればベストだったのですが、正直そこまではいけませんでした。
現生産技術部 中島さん
佐藤社長TA(2023年4月~2024年3月)

CEO Business Policyを司会としてサポートする中島さん
TA時代は資料作成だけではなく、社長のもとにいらっしゃるお客さまとの事前調整、滞りない訪問対応なども大事な業務でした。このように多くの方と関わる機会をいただき、社内の活動を知ることで会社への理解と愛着が深まりました。特に、佐藤さんのサポートもいただきながらJATCO in Progressをはじめとした、新しい挑戦をさせてもらえたことは貴重な経験でした。 一方で、明確なゴールがなく、落としどころを探る難しさに直面する日々でした。周囲の助けに支えられながら、少しずつ前に進めることができました。 TAは経営企画部の業務分掌にもしっかり明記されています。ただの“かばん持ち”ではなく、業務として認められていることに腹落ちし、安心した記憶があります。その経験があったからこそ、それまでは考えもつかなかった視座に触れ、物事の見方が大きく変わりました。従業員の皆さんと経営層をつなぐ役割の重みを感じました。
現日産ソフトウェア ディファインド ビークル調達部 金安さん
佐藤社長TA(2024年4月~2025年3月)

2024年度のJATCO in Progressで司会を務めた金安さん
TAの魅力は、社長の行動や判断を間近で観察することで、経営者としての思考・判断の基準を学べることです! 今の自分と比べて何が違うのかを感じ、それはなぜか、そこを考えることで思考の幅・奥行を広げるチャンスだと思います。社長に直接入る情報を知ることができ、会社の戦略や方向性を良く理解できますし、ニュースの内容をどう受け止め、事実を裏取りし、どんなアクションをするべきかを考えるようになります。 また、普段触れ合わない人脈に触れることも魅力です。社外は他社の経営者・自動車業界のキーマン・著名人、社内もそれぞれの部署での光る人材、頑張る人材に触れることができますし、自分自身へのとても良い刺激・活力になります。 1年間のTA経験を通じて、「社長」の大変さをシミジミ実感しました。社長は「最後は自分が決める」という強い意志と胆力が必要とされます。判断する重責、迷い、苦しみ、孤独と戦う姿を近くで見て聞いて、「社長」という仕事の大変さを肌で感じました。それと同時に少しでも社長の役に立ちたい、頼っていただけるような右腕になりたいと思いながら業務にあたっていました。(脳はヘトヘトになります。しょっちゅう社長からも「電池切れた?笑」と言われていました) 最後に、秘書さんの支えも大きいです。社長のスケジュールは突発なことが多く、秘書の皆さんはその調整一つ一つ丁寧に・間違いがないように対応されています。こういった支えで社長のスケジュールは成り立っています。