ジヤトコ、UK上陸! 誕生、ジヤトコ 英国会社 Vol.1
2025年1月16日。ジヤトコは、英国のサンダーランド市に欧州での初めての生産拠点となる「ジヤトコ 英国会社」の設立を発表しました。当日行われたアナウンスメント(発表会)では、多くの出席者の方々から歓迎の言葉をかけられるなど、地元の期待の高さを感じることができました。
My JATCOでは、この新拠点について2回にわたって紹介。設立メンバーで現地に赴任中の高橋社長、人事から企画管理まで手掛ける田中さん、財務の渡辺さんに話を聞きました。

(左から)田中さん、高橋さん、渡辺さん
Q. ジヤトコ 英国会社が誕生しました。まずは皆さんのことを教えてください。
高橋:全体のマネジメントはもちろん、SQTCE*¹の責任者でもあります。しっかりした会社を立ち上げるために、ヒト、モノ、カネを準備立てする。そこが一番大きな役割です。また、「英国ならでは」を出すためにも、ローカルメンバーを中心とした体制で立ち上げていきたいと考えています。
私はメキシコ赴任の経験がありますが、日本人は何年かたつと帰任する一方で、ローカルメンバーはそうではない。彼らがずっと同じ会社で働きたい、と思う環境を作ることが一番大事だと思います。そのためにはお客さまへの納期や製品の品質はもちろん、信頼を得ることも重要です。
まずはEV用パワートレイン「3-in-1*²」をNMUK(英国日産自動車製造会社)に供給しますが、ジヤトコの製品の良さをヨーロッパ中に広げて、日産自動車だけではなく、将来は他の自動車メーカー様からも引き合いが来る会社になれば良いと思います。

生産開始準備を発表したジヤトコ 英国会社
田中:私の担当領域は、日本の組織で言うと人事総務部・安全健康管理部・調達部・経営企画部・法務知財部・広報部まで幅広いです。自身の経験がない領域がほとんどのため、日本の機能軸の皆さんの多大なご協力を頂きながら、進めています。立ち上げ時は人事総務部と安全健康管理部としての仕事が多く、ヒト・モノ・カネで言うと、ヒトを推進している役割を担っています。当然人がいないと会社は動かないので、ここで長く働いて核になってくれる方を採用し、彼らが働きやすい環境、つまり、オフィスの整備だけでなく、成果を出した方が評価される人事制度をローカルメンバーと一緒になって作っていくイメージです。安全健康管理部という意味では、安全で健康でないと人は長く働けないので、その仕組みや環境も作ろうとしているところです。
渡辺:私の担当はヒト・モノ・カネでいうと、カネです。日本で言えば、財務・原価部門の領域です。
大きく2つの柱がり、1つ目は、実行企画に沿ったお金の管理です。2つ目は、実際に発生するコストの会計記録の管理です。いわゆる財務・会計が大きな柱となっています。現在はローカルメンバーのマネージャーとともに担当しています。
Q. 1月16日のアナウンスメントでは、地元の期待を感じることが出来ました。
高橋:当日は政府の高官の方々にも来ていただきました。アナウンスメント後も、商工会議所の方から「お話をしにぜひ来てください」と気さくに声をかけていただいています。我々を重要なパートナーとして認識いただいており、地域の期待をすごく感じています。


1月16日のアナウンスメントの様子
Q.立ち上げにあたっての苦労話を教えてください。
高橋:私は今年度からプロジェクトに入りましたが、プロジェクト発足時からいたメンバーに聞くと、地元のサンダーランド市との交渉には苦労したようでした。特にイギリスにおいては、ジヤトコとしても経験が少なかったので大変だったと思います。英国大使館や現地行政関係の方々、NMUKなどの関係者と調整しながら進めていったのですが、サポートいただいた関係各所の皆さまには大変感謝しています。ジヤトコ側も経営企画部の赤堀さんやオートモーティブ eパワートレイン モノづくり変革部の岡本さんをはじめとした方々が苦労されていたと思います。本当にゼロからのスタートだったので。
生産準備においては、欧州は設備に対する安全基準の違いに戸惑いました。CEマーク*³は欧州の安全基準ですが、日本の安全基準だけでは通らないようなものが多かったです。ジヤトコは欧州での生産が初めてなので、その基準を理解したり、その準備をしたりするのが大変でした。
田中:私は2023年10月から兼務でプロジェクトに入りました。当時は日本にいたので英国のことを良く理解できていなかったため、会社設立のための手続きや、人を雇うための準備などが難しかったです。知見者の方に聞かないと進まないので、NMUKや英国にある日系企業や外部コンサルタントの方々から情報を取った上で、どうやって進めるべきかを検討してきました。日本での工場設立準備に比べると、5倍くらい時間がかかったと思います。
その他には、欧州は契約社会なので契約書が膨大になりました。1年半強で20件以上は契約締結しましたが、基本的には1件30ページほどあり、英語かつ専門用語だったので難しかったです。サポートいただいた法務知財部の皆さんに本当に感謝しています。
オフィスも何もないところから準備しました。鉛筆もプリンターもないので、全て買ってセットするところから始めました。日本では当たり前に全てが揃っているので、「恵まれていたのだな」と再認識しました。
渡辺:私も田中さんと同時期にプロジェクトに入りました。政府のグランツ申請では、赤堀さんと一緒に、プロジェクトの確実性や背景などの情報の確認(デューデリジェンス)を何度も受けました。このプロジェクトをつぶさないために必死でしたね。私は2人とは違って海外出向の経験がないため、銀行口座や携帯電話の開通、賃貸住宅の契約についても緊張しきりでした。
英国は先進国かつ今は円安なので、ヨーロッパは物価が高いなと感じています。外食ばかりするとお金が大変です。また、私は静岡に住んでいたので1年中暖かかったのですが、こちらの寒さが身にこたえます。早く春にならないかなと思っています。
Q. ジヤトコ 英国会社のココがすごい!を教えてください。
高橋:ジヤトコ 英国会社とNMUKとの距離の近さです。クルマで3分なので、良い意味でも悪い意味でもね(笑)。私が過去に勤務していた掛川工場でもスズキ様と近かったので、何かあればすぐに対応ができました。工場の外観は黒を基調としていてカッコいいです。元々サンダーランド市が持っていた建屋ですが、とてもスタイリッシュでした。

渡辺:オフィスエリアは窓が多いことも良いですよね。

田中:1月末から、ローカルメンバーが入社されました。皆さん、会社立ち上げに携わっている自覚と誇りを持っていて、すごくモチベーションが高いです。我々と良いチームワークで働いています!
*¹ Safety、Quality、Time、Cost、Environment の頭文字。
*² 「X-in-1」における電気自動車用のパワートレインのこと。モーター、インバーターと減速機をモジュール化して一体化することで小型化、軽量化、コスト低減の実現を目指す。
*³ EUで販売される指定の製品がEUの基準に適合していることを表示するマークのこと。
動画紹介
1/16プレスリリース
https://www.jatco.co.jp/release/2025/20250116_1747.html
次回もローカルメンバーの紹介など盛りだくさんです。お楽しみに!