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(日本語) Jatco CVT-XS 誕生! (日本語) 電動化が進む時代に誕生したJatco CVT-XSとは?

2023年10月、ジヤトコメキシコで新たなCVTが誕生しました。その名は「Jatco CVT-XS(以下、CVT-XS)」。市場投入する前に実施された試乗会では、誰もがその走りのよさに驚いたCVT-XSとは、どのようなユニットなのか? 今号は、CVT-XSを立ち上げた開発メンバーへのインタビュー。製品の特徴やこだわりポイント、電動化へも繋がる話をうかがいました。

(日本語) 左から、橋戸さん、成林さん、金田さん

■担当歴 橋戸さん:企画からSOP、成林さん:正規手配からSOP(Start of Production:生産開始)、 金田さん:企画から正規手配

(日本語) Jatco CVT-XS誕生!

(日本語) CVT-XSカットモデル

(日本語) セントラ

(日本語) CVT-XSスペックと特徴

  • (日本語) トルク帯:200Nm(最大280Nmまでをカバー)
  • (日本語) 搭載車両:セントラ(2リッター)など
  • (日本語) 特徴:3方ソレノイド採用 →ロックアップ油圧コントロール性が大幅に向上 コントロールバルブ縦置き化 →NCAP*への貢献(*北米の車両安全規格)
  • (日本語) 強み:燃費の向上、運転性能の向上、車両搭載性への寄与

プレスリリース:https://www.jatco.co.jp/release/2023/20231012_1450.html

(日本語) 開発メンバーへのインタビュー

(日本語) CVT-XS開発の意義

Q:新たなCVTが無事に立ち上がりました。おめでとうございます。CVT-XSが企画されたきっかけや、電動化シフトが進むこの時期に、CVTを開発した意味を教えてください。

金田:CVT/ATの台数はたしかに減っていきますが、なくなることはありません。今、アメリカの高い燃費目標に貢献し続けられるCVTを開発し、これから長く使ってもらおうと考えたのです。コスト&燃費競争力のあるCVT-XSで、会社の収益を支え続け、電動パワートレインへのシフトや新事業へのチャレンジを後押しすることもできると思っています。

(日本語) CVT-XS開発基地

(日本語) 開発成功の秘訣

Q:CVT-XSはジヤトコメキシコ単独で立ち上げました。コロナ禍、かつ海外拠点でうまく立ち上げることができた要因はなんでしょうか?

成林お互いを理解するためのコミュニケーションです。コロナ禍ではありましたが、数ヵ月間メキシコに渡り、お互いの考え方などを理解しあい、顔の見えるコミュニケーションで関係の質を高めました。これが成功の秘訣です。一旦関係性ができてからは、リモートでも相手がどう思っているか? がなんとなく分かるようになり、仕事がスムーズに進むようになったと感じます。正直、コロナ禍でメキシコへ行くのは少し怖かったですが、現地に足を運んで本当によかったです!

(日本語) CVT-XSでのチャレンジ!

Q:CVT-XSでのチャレンジを教えてください。

(日本語) A①:プーリー軸の細軸化(T-E-A-M)

成林:企画当初予定していた燃費アイテムの採用ができず、変更を余儀なくされたタイミングがありました。燃費も他の性能も目標に届かなくなっていまったのですが、全社One Teamであきらめずに取り組みました。特に燃費や運転性能の向上にレシオカバレッジ(=変速比幅。レシオカバレッジが大きいほどGood)の拡大が必要でしたが、外径側には厳しいレイアウト制約があったため、内径側を攻めることにしました。プーリー軸の強度を見極めて、極限まで細軸化した結果、既存のJatco CVT8に比べ、レシオカバレッジを11%も拡大することができました。生産部門の皆さんが、工法変更など多くの対策に協力してくれたおかげで、どうにか目標性能を達成することができました。ありがとうございました。

(日本語) 細軸化にチャレンジしたプーリー軸(左:CVT-XS、右:CVT-X)
プーリー径が小さく、軸も細くなっています

(日本語) A②:縦置きコントロールバルブ

橋戸:CVT-XSが搭載される主な車両はセントラというセダンです。CVT-Xが搭載されているSUVとは違いエンジンルームの空間が狭く、NCAP*(*エヌ・キャップ。衝突安全など車両の安全性能を評価する北米の規格)を満足するには高いハードルがありました。そこでチャレンジしたのが“縦置きコントロールバルブ”です。 ジヤトコ CVT初のチャレンジでしたが、走行時はオイルパン内に油を閉じ込めて油面を下げ、回転体との接触を減らすことでメカニカルロスを下げる。一方で、寒く気温が極めて低い地域で、不具合の原因となりうるエア吸いを防ぐために、積極的にオイルをストレーナーの吸い口に戻す機能を持たせ、うまくバランスを取りました。特にこのオイル戻り性能予測が難しかったのですが、連通穴(オリフィス径)をうまく調整して性能を成立させました。この連通穴には、魂がこもっていますよ!(笑)

(日本語) この連通穴が命!

(日本語) 連通穴を拡大。この穴です!

(日本語) 縦置きコントロールバルブで性能アップ‼

(日本語) 推しポイント

Q:他にも、CVT-XSの素晴らしい点をアピールお願いします!

(日本語) A:燃費と運転性能を両立させた3方ソレノイドの採用

金田:CVT-XSは厳しい燃費規制に貢献するためのユニットです。油圧コントロール性を最高レベルにするために3方ソレノイド(油圧をコントロールする部品)を、ロックアップ熱容量を増やすために多板クラッチを採用しました。これによりエンジン回転が過剰に吹き上がることを抑制し、高速領域でのスリップロックアップも可能になりました。また、ツインポンプ(メカオイルポンプと電動オイルポンプの2つ)の採用とレシオカバレッジの拡大により、燃費達成に貢献しました。 また、運転性能においてもドライバーのアクセル操作に応じてスムーズに加速するようになりました。北米市場で以前指摘されていたラバーバンドフィール(エンジン回転の上がり方と加速感のギャップ)を、まったく感じることがない、ドライバーの意のままの素晴らしい走りを実現しています。試乗会でも高評価でしたよ!

(日本語) A:軽量化技術の採用(メカオイルポンプ小型化とダミーカバー材料変更)

橋戸:重量も軽くしました。ツインポンプを採用する時に、メカオイルポンプをどこまで小型化できるか。徹底的な性能検証により、CVT8からポンプ吐出容量を14%減(12.2cc/rev)にでき、小型化ができました。また、オイルポンプのダミーカバーという部品の素材を鉄からアルミに変更して重量を3分の1にすることにも成功しました。驚くほど軽いですよ! もちろんコストへの跳ね返りはありましたが、最後はQCT(Quality、Cost、Timeの略。品質/コスト/スケジュールを指す)のバランスを取ることができました。

(日本語) メカオイルポンプを14%小型化

(日本語) ダミーカバー 重さ約60%オフ!
従来の鋳鉄素材(左)に対しアルミ素材に変更

(日本語) 電動化にも活きる品質盤石活動

成林:最後に、CVT-XSの品質についてお話します。CVT-XSは、JATCOの電動化ビジネスに繋げるために失敗が許されない宿命を背負った「最後のCVT」です。そのため、品質に妥協することなく、「できることは全て実行し、更にもうひと手間かける!」という社内用語の“オーバーシュート”に取り組んできました。 CVT-XSではジヤトコにおける初めての取り組みとして、SE(システムズエンジニアリング)~生産までの一気通貫品質確認と重要特性の抜け漏れ点検や、出来栄え評価の抜け漏れ点検(工程能力評価,、車両評価)などの18項目に及ぶワーキンググループを立ち上げ、生産開始までの1年間の品質総点検を実施することで、盤石の立ち上げ品質を確保しました。 現在は、この活動から得た経験の品質プロセスへ落とし込みを行っています。この活動は他のプロジェクトへの拡大が始まっており、電動パワートレイン事業でも高品質な製品を短納期でお客さまにお届けすることができるプロセスへと昇華させていきたいと思います。

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