電動車椅子サッカー大会の運営ボランティアに参加したことをきっかけに、今ではチームの練習サポートや審判としても活動している佐藤さん。もともとボランティア精神が旺盛で、学生時代から献血を続け、ボーイスカウトのリーダーを務めたこともあるという彼が、なぜこの競技の“虜”になっていったのかを聞きました。
出会いは、地元開催から
「昔サッカーをしていたこともあり、電動車椅子サッカーという競技に親しみを感じました。2駅隣で大会が開催されると知り、運動不足解消にもなりそうだと思って参加を決めました」
最初の参加は、昨年の「横浜F・マリノスカップ 第19回電動車椅子サッカー大会」。試合前後のガードの取り付けや取り外しなど、工具を使った作業をジヤトコの仲間と協力しながら進めました。
「皆でわいわい作業するのが楽しかったですね。ジヤトコスタッフが選手、チーム関係者に信頼されていることが良く伝わってきました。試合を見ていると、何よりも障がいを持つ選手がとても活き活きとプレーしている姿が印象的でした。これまで障がいを持つ方と接する機会は少なかったのですが、スポーツを通じると自然に関われることが自分でも意外でした」
大会後、「このスポーツをもっと知りたい」と思い立ち、インターネットで調べて横浜のチーム「横浜クラッカーズ」に連絡。練習のサポートボランティアを始めることになります。
My JATCOカメラ、ボランティア初参加の佐藤さんをバッチリおさえていました!
ダイナミックで知的な“もう一つのサッカー”
佐藤さんが感じた電動車椅子サッカーの魅力は、スピードとチームワークにあります。
「パスが出たところに後ろ向きで走り込み、クルッと回転してシュートする瞬間は本当にかっこいいです。2人のスピンキックを組み合わせて行うゴール前の間接フリーキックも、ポジションを微妙に調整して息を合わせる数秒間がしびれるほどです」
この競技は、10歳から50代までの幅広い年齢層が性別を問わず一緒にプレーできる点も特長の一つ。
「最初は中高生の部活のような雰囲気を想像していましたが、練習では選手同士が意見を出し合い、自分たちで練習を組み立てていく。大人のチームとして成熟したやりとりを感じました」
横浜クラッカーズ 佐藤虎汰朗選手
横浜クラッカーズ 永岡真理選手
審判として、もう一歩踏み込む
チームに関わる中で、監督から「理解が深まるので、ぜひ受講してみては」と勧められ、審判資格を取得。
「複数の審判員がいると練習試合を企画しやすいということもあり、『それなら』と受講を決めました。おかげでルールをよく理解するきっかけにもなりました」
今年の横浜F・マリノスカップで初めて主審を務めたときは、前夜にルールを一夜漬けで確認するほど緊張したといいます。
「試合中は、的確な判定で選手が気持ちよくプレーできるように意識しました。経験豊富な選手は、ルールをうまく使って相手をファールにさせるなど、頭脳的なプレーも多いのです。そうした駆け引きが分かると、競技の奥深さがさらに見えてきます」
主審デビューした佐藤さん
コートを全力ダッシュします
支える立場としての責任と学び
チームサポートでは、ボールのセットや球拾い、練習会場の設営・撤収を担当。
「選手が集中して練習できる環境を整えることが自分の役割です。ただ、選手が自分でできることとそうでないことを見極め、必要以上に手を出さないことも大切だと感じています」
審判講習では、「試合進行よりもまずは安全第一」という考え方を教わりました。
「障がいを持つ選手の中には、体温調整が難しかったり、接触の衝撃でジョイスティックから手が外れてしまう人もいます。パラスポーツには、健常者スポーツとは異なる安全面での配慮が必要だと学びました」
仕事にも通じる、人との関わり方
この経験は、日々の業務にもつながっていると佐藤さんはいいます。
「選手一人ひとりに違った特性や個性があるように、職場でも人それぞれに強みや得意分野があります。相手の特性を理解し、それに合ったサポートをするという考え方は、仕事のチームマネジメントにも通じていますね」
「助ける」ではなく「一緒に楽しむ」
活動を通して感じたのは、「ボランティアは助けることではなく、一緒に楽しむこと」だといいます。
「選手や関係者の方々には、ボランティアは“支える側”ではなく“共に楽しむ仲間”であると伝えたいです。また、健常者の方にも障がい者スポーツを難しく考えず、気軽に関わってほしいですね。参加すれば、想像以上に多くの気づきや喜びが得られると思います」
読者の皆さんへメッセージ
電動車椅子サッカーの魅力は、繊細なドリブル操作、豪快なスピンキック、そして何より真剣にプレーする選手たちの表情です。
ジヤトコボランティアは、普段なかなか話す機会の少ない従業員同士が、スポーツやボランティアを通して交流できる貴重な場でもあります。
初日の夜に行う懇親会も毎回盛り上がりますので(笑)、ぜひ気軽に参加してみてください。
そして機会があれば、私がサポートしているチーム「横浜クラッカーズ」の練習も、ぜひ一度見に来てください。
きっとその魅力に沼ってしまうと思いますよ。
電動車椅子サッカー全国大会 パワーチェアフットボールチャンピオンシップジャパン2025の様子はこちらの動画よりお楽しみください。
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