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External mindsetのススメ 荒井SVP:生産技術屋のExternal mindset

(この記事は、社内のExternal mindsetのコンテンツ記事から一部編集の上、掲載しています)

External mindsetをもって仕事にあたっている役員、社員の⽅から、その⼼構えやマインドセット継続のための仕組みなど、私たちが使えるヒントを聞かせていただくこの連載、今回は生産部門担当SVPの荒井さんです。

荒井さんは自分のことを「生産技術屋」と呼びます。日産自動車に入社してから、30年近くをエンジン組み立ての生産技術のエンジニアとして過ごしてきました。ジヤトコの役員となった今も、自部門の部長に「あなたが責任者のあのプロジェクトに関して、自分は一人の組立技術者として考えてもらっていいから、逐一情報をくれないか?」と頼んでいるそうです。生産技術のエキスパートが考える、External mindsetを語っていただきました。

自ら志願したメキシコ赴任

私にとって、大きな転機となったのは、29歳の時に自ら志願した、メキシコ日産への赴任でした。External mindsetと言っていいと思います。生産技術屋として、海外で自分の力を試したいという気持ちがあり、また自分の先輩もメキシコへ赴任していたことから、課長に自分から申し出たのです。海外では、生産を仕切る立場となるため、30代半ばで赴任するのが通例でしたが、当時私は29歳、今考えるとよく私を行かせてくれたな、と思いますね。

メキシコでは、いきなり工場長が自分の上司になりました。日本では、総括がいて、課長、部長、工場長というレポートラインでしたので、判断にそれほど大きな責任はなかったのですが、メキシコで背負う責任は段違いで、工場長判断以外はすべて自分の責任で決めなければなりません。大きなプレッシャーと共にやりがいを強く感じる中、自分としてこれまで出せていなかった能力をすべて出し切る必要がありました。それが成長につながったという気がします。

転校生マインド

私が、小学校で3度、中学校で2度転校を経験したからでしょうか。ずーっと同じところで働くのは性に合いません。生産技術部門にはいましたが、3年くらいでちょこちょこと職場が変わっているのです。それがないと刺激がない。何か変えてやろうという魂胆があるのです。新しい提案をして、形にして効果を出すまでに3年くらいはかかります。だけど5年もやっていると、慣れ親しんでしまい新しい知恵が出てこなくなって、現状維持のままダラダラしてしまうのではないかと不安になります。

職場が変わるときの難しいところは、最初にその職場にどう溶け込み、職場の方々と分かり合えるようになるか、という事でした。いきなり私が提案し始めても、職場も受け入れにくいでしょう。まずは1年くらいの月日をかけて相手のふところに入り、信頼関係を築く。その上でどうやって組織を、仕事を良い方向に変えていくかを一緒に考えたほうがうまくいきました。急がば回れ!ですね。

少し話がそれますが、今はコロナでプロジェクトの打ち上げができなくて、かわいそうだなと思います。プロジェクトメンバーは普段から、急かされ怒られることばかりなのに、最後の打ち上げで区切りもつけられず、次のプロジェクトに移っていかなければならない。私は打ち上げが大好きです。関係した各部門のメンバーがお互いを称えあう。理解を一層深めあう。そんな機会が欲しいじゃないですか。メキシコでは?日本よりも、もっと重要なイベントです。

「プロの目」で外の情報を見る

生産技術者として、外の情報を得る際に「プロの目」を持つことが大事だと思います。設備メーカーを訪問したり、展示会で競合他社や違う分野の企業の設備を見たときに、プロの目を持っていないと、その設備の思想や背後にある考え方に気づくことができません。それでは学べない。プロの目を養うためには、例えば、設備ラインを引くときに設備メーカーに丸投げするのではなく、原理や構造など事細かく考えたうえで仕様書を書くことが必要だと思います。自分でどれだけ考え、理解したものを形にするか。それが、その人の力になるという事です。私はそのようにしてきたし、指導してきました。これは、生産技術以外の部門の方にもあてはまるのではないでしょうか。

一つ、ジヤトコに来て嬉しかった話があります。以前日産のプロジェクトで、小量生産前提のエンジンを通常ラインと同じように立ち上げると設備投資がかさみ、採算が取れない課題がありました。そこでタイヤメーカーの生産方式を参考に、設備の汎用性を上げる「フレキシブル化技術」(一台の設備に複数の作業をさせる技術)と生産時間を短くする「高速搬送技術」に取り組みました。これらはプロジェクト前提条件の変更により実現しませんでしたが、ジヤトコに入社して、ジヤトコが「フレキシブル化技術」を既に導入していたことを知りました。この時は、エンジン組立の生産技術屋として、自分よりも先に実現されたという“悔しい”気持ちと、設備のフレキシブル化に価値を見出し、実現してくれた仲間がジヤトコにいた、という“嬉しい”気持ちになりました。

External mindsetにより得られたものを社内に落とし込む

External mindsetに関して私が課題だと思っていることをお話します。それは得られた情報をいかに社内へ落とし込むか、ということです。External mindsetの意識を高めて、外からたくさん情報を集めても、それだけでは意味を成しません。重要なのはExternal mindsetにより得られた情報を、ジヤトコの風土に合わせて、有益な形で取り込み、使っていくことです。

これは私自身も、まだまだうまく出来ていないと感じています。新しいことや学びを、ただ単に提案したり、指示したりするだけではうまくいきません。提案したら、自分自身がその中に入り込み、形になるまで一緒に悩み、考えていくべきだと思っています。

資格を取って広がる世界

私は小型船舶操縦免許1級や第二級海上特殊無線技士など、複数の資格を取得しています。 一方、妻はさらに上手で、船舶や無線以外にも整理収納アドバイザーやパンマイスター(パンの作り方を人に教える資格)など約20個もの資格を持っています。 一時期は競っていましたが、現在は資格の数ではまったく歯が立ちませんね。どの資格を取得するにしても、新しい世界を知るきっかけにもなりますし、色々な刺激を得ることにも繋がります。これは私の個人的なExternal mindsetの一つです。

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