教えて佐藤さん! 新入社員が社長に聞いた12のコトVol.2
第二弾! “新入社員の直球質問は続きます!”
先月に引き続き、5月に行われた新入社員4名と佐藤さんの対談の様子をお伝えします。話は電動化や社長の苦労など、いろいろな方向に広がってきました。
佐藤さんの話を真剣な眼差しで聞く新入社員の皆さん
佐藤さんに挑んだ新入社員
今回挑んだのはこの4名です。
Q5:世の中の変化に伴い、ジヤトコはCVTから電動化に向けた製品に切り替えていかなくてはなりません。切り替えはどのように進んでいるのでしょうか?
佐野さん
回答:動力がモーターに変わってもジヤトコが培ってきた技術力が活かせます。そして日産や他のメーカーとの商談はたくさん進めているので安心してください(笑)
私たちが作ってきたCVTはクルマの真ん中にあります。そしてクルマはCVTを介してエンジンの動力をタイヤに伝えているんです。クルマを走らせるとき、前に進もうとすると後ろの方向への力がタイヤから返ってくる、これをタイヤからの反力と言うんですが、この力を全部吸収しているのがCVTなんです。反力をエンジン側に渡さない、吸収してお客さまに感じさせないようにしながらクルマを前に進める。音もコントロールします。これがクルマの乗り心地を決める一番大事なポイントなんです。これができるのがジヤトコの強みです。動力がエンジンからモーターに変わってもタイヤからの反力は変りません。反力をコントロールできる技術がある以上、ジヤトコには電動化を担う力がある、と思っています。 そしてもう一つ。ジヤトコには変速機の技術があります。世の中にはエンジンからモーターに変わったら変速機はいらないという人がいますが、私は絶対に必要だと思っています。モーターには力を発揮できるところ、出来ないところがあって、クルマの高速域ではほぼ発揮できません。低速域でもたくさん電力を使う領域があって、そういうところでは必ず変速機が必要となってきます。 私たちの仕事の範囲は、ギアを作ってモーターとインバーターを組み合わせて一つのユニットにして、音をコントロールしながらクルマの走りを決めることです。反力をコントロールできる力と変速機の技術、この二つを組み合わせてクルマメーカーにPRすることが大事です。日産へは4年前からこれら技術をPRし続けた結果、我々を電動化の一翼を担う会社として認めてくれ、Nissan Ambition 2030の中でもジヤトコをパートナーと宣言してくれました。 日産以外のメーカーとも話をしていますよ。我々の力を買ってくれるところと多くの商談を進めています。ご心配なく。 でも実は、それ以外にもやりたいことがいっぱいあるんですよねぇ。言えるようになったら言います(笑)
佐野さん:佐藤さんは電動化についてどう思っていますか?電動化にするということは電力を作るために火力発電、原子力発電をもっと作らなくてはいけない、それは地球にやさしいとは言えないのでは?
回答:産業構造のすべてでカーボンニュートラルに切り替えなくてはいけません。そしてそこにはチャンスがあるのです!
クルマの電動化は必ずしも地球に優しいと言えないのではないか?ということに対しては、その通りだと思います。Well-to-Wheel(ウェル トゥ ホイール:油井から車輪まで)と言われていますが、いくらクルマを電動化したとしても、例えば火力発電に使う原油の採掘、輸送、発電、送電などすべての過程でCO2が排出されている以上カーボンニュートラルにはなりません。エネルギーを作ってクルマを走らせるまでの全ての過程でCO2を削減していかなければならないことは、自動車業界はもちろんカーボンニュートラルに取り組んでいる企業はわかっています。産業構造のすべての場所でカーボンニュートラルに切り替えていかなくてはならない。でもそこにはビジネスチャンスはいっぱい落ちている、ジヤトコにも何か出来ることがあるんじゃないかと思っています。 ですので、「電動化をどう思っているか」と聞かれたら、「いろいろ変わるので、そこにはチャンスが落ちている、だからチャレンジしようよ」と言いたいですね。その落ちているチャンスを狙っていきたい、と(笑)
Q6: ここまでお話を聞いてきて、佐藤さんがポジティブシンキングですごく前向きなことが分かりました。そんな佐藤さんでもめげちゃう時、ダメだと思う時はありますか? その場合、どうやって切り替えているのでしょうか?
志村さん
回答:常に未来志向で、後ろをあまり振り返らないですね
難しい質問ですね(笑)。ネガティブに思う時もあるし、気持ちを戻すことが難しかった時もあります。ただ、私は常に未来志向なんです。後ろをあまり振り返らない。振り返ることは必要ですよ。振り返って何が悪かったのかを自分で判断するのは必要なんだけど、私は常に前を向きたいし、向いているつもりです。周りの人にも「今問題があることは分かった。じゃあ次に何をやろうか?明日はどうなっている?明後日はどうなる?それを決めようよ。そして一週間後に解決するストーリーが成り立つならそれでいいじゃないか」と言っています。自分自身でも未来を見ながら10分後でも20分後でも、やることをパッパと決めてそれをドンドンやって。それがつながったら最後に目標に到達する。というやり方をしています。 よい未来に向かって動くことが大事です。自分だけでなく周りにいる人にも「そっちだ!」って言っています。そして決める時は明日とか明後日とかではなく、10分後とか1分後とかのレベルで決めてとっとと取り掛かります。一つひとつ小さいものは失敗しませんし、それを積み上げていくというイメージで進めていくのです。ぜひやってみてください(笑)
Q7:実際に社長になってみて印象が違ったことや、社長になる前後で変わったことはありますか?
杉本さん
回答:表に顔を出さなくてはいかんこと・・・ですよ(苦笑)
変わったことはいっぱいありますね。そもそも生産部門にいたときは、表に出るよりは裏方のほうが好きでした。戦略を考える人になろうと考えていた時期もあります。社長を意識しながらも「支える参謀」のほうが自分には合うな、と思ったこともありました。なので、社長になってすごく感じるのは「表に顔を出さなくてはいかん・・・」ということですよ。広報に「表に顔を出せ」と言われるのですが、この顔を「ジヤトコの顔」として外に出していいのかな、とちょっと考えたりしますね。でも未来志向なんで「まっ、いいか」と。一歩一歩、どうやって顔を出していくか考えていけばいいのかな、と思うようにしています。新聞記者と話していると広報が「それを言っちゃいけません」って目配せしてくるんですよ。いったい、社外に対してどこまでしゃべっていいんだろう・・・それが一番の悩みです(苦笑)
Q8:私もいずれ先輩になる日が来ますが、その時のためにいろいろと学びたいと思います。佐藤さんは新入社員の頃、どんな人物になりたかったですか?
髙田さんと真剣にメモを取る佐藤社長
回答:目標とする先輩を真似る。報告書の文字のカタチまで真似していました(笑)
私の場合、「自分が真似する人」を選んでいました。少し上の先輩で「面白い人だし、優秀だな」と思ったら、報告書の書き方から文字のカタチまで真似していました。その頃はPCが普及していなかったので報告書は手書きでしたが、他の人から「お前が書いたのかあいつが書いたのか分からない」と言われるくらいにそっくりでした(笑)。歳を重ねるにしたがって真似をする人が変わっていき、最後の方は、社長を真似るようになっていたと思います。この質問をもらって初めて「いままで、自分はロールモデルとなる人を置いて、それを真似してきたんだなぁ」と気が付きました。ぜひ参考にしてみてください!
いかがでしたか? 今回も佐藤さんには新入社員の質問に丁寧に答えていただきました。新入社員の質問から佐藤さんがご自身のキャリアに気づかされたこともあったようです。最終回のVol.3は夏休み前に公開予定です。お楽しみに♪