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アントレプレナーシップの先駆者たち ~前編 西海さん~ 不確定な世界に、自分で路を切り拓く

アントレプレナーシップ。起業家精神とも翻訳されるこの言葉がCEOポリシーに登場したのは2年前です。起業家精神と聞いて「自分は新しい事業を起こすつもりはないけど」「実際の仕事にどう活かしてよいか分からない」という声も聞きますが、「ジヤトコが生き残り、さらには自立して発展していくために“起業家的行動能力”を一人ひとりが持つことを目指す」と言えば、より自分事として感じることができるかもしれません。
今回、2週にわたりアントレプレナーシップ醸成の取り組みのひとつ「武蔵イノベーションプログラム」に志願して飛び込んだ10名の社員の中から2名の方にお話をうかがいます。志望したきっかけやプログラムの中での学び、目指しているゴールなど、ジヤトコにとっては未開のアントレプレナーシップという荒野を歩むパイオニアから、私たち自身が変革に踏み出す勇気をもらいます。

武蔵イノベーションプログラムの様子①

武蔵イノベーションプログラムの様子②

~前編~ 部品技術部第二加工技術課 西海さん

~後編~ イノベーション技術開発部 猪上さん(次号にてご紹介)

「武蔵イノベーションプログラム」とは?

ジヤトコの中では「武蔵イノベーションプログラム」と呼んでいますが、正確には「東三河 Innovator’s Bus 2023 Summer」という名称です。武蔵精密工業株式会社が主催し、2ヵ月弱という短期間でイノベーションに関する学術的な方法と実践(フィールドワーク)を学びます。新規事業創出の先進企業である武蔵精密が東三河地区の企業、個人、自治体に向けて作り上げたプログラムで、イノベーターとしてのマインドとスキルセットの獲得が目的です。6月末から8月末まで行われる今回のシーズンにジヤトコも参加させていただきました。

「楽しくて考えることが止まらない」 第二加工技術課 西海さん

アントレプレナーシップの先駆者、一人目は第二加工技術課の西海さんです。入社2年目で武蔵イノベーションプログラムに飛び込んだ西海さんは「チームでアイデアを検討する中では年齢や経験は関係なく自由に発言させてもらっています。忙しいけど楽しくて考えることが止まりません」と話してくれました。

楽しくて考えることが止まらないと語る西海さん

アイデアをビジネスにつなげるスキルがなかった

私が事業イノベーションを考え始めたのは昨年のことです。新入社員だった私は社員教育のカリキュラムのひとつとして何人かでチームを作り、第一回のビジネスコンテストに応募しました。自分の中ではまあまあの出来、くらいのアイデアでした。それと同時に、同期の一人とかなり面白いと思えるアイデアを思いつき「こっちが本命」と自信を持って別提案を提出しました。しかし結果は、教育で作った提案は2次選考まで残り、自信があったはずの別提案は1次選考で落とされてしまったのです。「自分にはアイデアを相手に伝えるスキルがない」ことを思い知りました。どんなに優れたアイデアでも人に伝わらなければ次のステップには進めません。そしてその進め方も分かりませんでした。そんな時、アントレプレナーシップ醸成の事務局の方々から今回のプログラムに参加しないかと声をかけていただきました。1次選考の面談で「これをやれば会社が成長するはずです!」と強いパッションで話したおかげかもしれません。
私はもともと大学で研究開発に携わっていたので、何かを開発するという仕事に興味がありました。新事業を起こすことも開発のひとつですし、将来の自分のキャリアにも役に立つはずです。何よりも、アイデアを活かせなかった自分に足りないものを学びたい。「今しかない」と応募を決めました。

当時を振り返る

アイデアをどうやって事業に結びつけるか

プログラムでは、「自分や会社が持っているアイデアをどうやって事業に結びつけるか」ということを学んでいます。アイデアを生み出す方法ではなく、事業化するまでの道のりを実地で学ぶのです。世の中にはアイデア自体は素晴らしくても事業化に結びつかないことが数多くあります。私たちは顧客の目線に立って、ニーズよりもっと深い「顧客のインサイト:本当に欲しいもの」を探り当て、「誰かひとりでもいいからその人のために事業化しようと思えるものを作る」というコンセプトで事業プランを検討しています。
検討は「デザイン思考」という考え方で進めていきます。まずは自由に目的のない話をして、そこから意見を収束させていきます。正解はありません。多様性を重視し、むしろマイナーな意見に注目する。それを分類/整理してみて、一歩引いた目線で外部からはどのように見えるのかを確認します。ゴールは決まっていないので行ったり来たり。普段の業務では、方向性を決めて計画を立てて打ち合わせし、理論的に物事を進めていくのでそれとは全く違います。紆余曲折の末、顧客のインサイトをようやく見つけ、事業プランにしてそれを評価してみたらダメだった、、で、またふりだしに戻ることもあります。これらを繰り返しながら「自分がやりたい!」「共感できる!」などいわゆる主観的に事業を追求していくのです。

面白いことに進め方のステップは、普段私が生産部門でやっているQCストーリーと同じです。共感し、現状把握して、課題を選定して解決策を見つける。ベースとなる思考法が「感情性知性のデザイン思考」か「論理的思考」なのかが違うだけです。
それでもデザイン思考では普段使わない脳ミソを使うのでメチャクチャ疲れます。「脳に汗をかく」と皆さん言っています。論理的思考と違い、デザイン思考では「自分や人の気持ち」「自分や人がどう考えているか」を深く深く考えていきます。今まで、自分や人の気持ちをここまで深掘りしていくことはありませんでした。答えが出なかったり共感にたどり着かなかったりして、一日中モヤモヤして考え込んでしまったこともあります。
私はこのプロジェクトを通して、自分の強みをビジネスにするのではなく、顧客のインサイト、本当に求めているものをビジネスにするという考え方、進め方を学んでいます。これは、これからますます多様化し、素早く変化していく世の中を生き抜くためにとても重要なスキルだと思います。

顧客のインサイトを探る

自分のコミュニティにはない考え方に刺激を受けています

モヤモヤと考え込むことがある、、と言いましたが、私のチームが検討しているテーマは「世の中のマイナスをなくす」ではなく、「今あるものをさらに楽しく良くしたい」なので、ポジティブな会話が大半を占め、悩むより楽しさの方が上回っています。
私たちは「市民ランナーに、これまでにないランニング体験を提供しよう」と考えています。まずは、有名なランニングスポットに行って多くのランナーにインタビューをしました。さまざまな話を聞いて、ランナーの気持ちに共感し、表面的なニーズではなく本当にランナーの方々が求めているインサイトにたどり着き「本当に欲しい人がいる」事業プランに近づけていくのです。

MUSASHi Innovation Lab CLUEにて

チームは法務知財部の近藤さんと武蔵精密工業の吉川さんと私の3名です。お二人とも私よりもずっと長い経歴がありますし、その道ではとてもかなう方々ではありませんが、この企画の中では平等に自由に話させていただいています。なにより私にとって自分のコミュニティ以外の方から受ける刺激がモチベーションになるのです。正直に言って普段の業務と同時に全く違う頭の使い方をするこのプロジェクトを進めるのは大変です。でも楽しいんですね。「楽しくて、考えることが止まらない」状態になるほど、このプロジェクトに入れ込んでいます。

今は自分たちの事業プランを通すこと

昨日、ピッチのリハーサルがありました。ピッチとは「投資家に私たちの事業プランを説明し、投資してくれるか否かを聞く」場です。8月後半に予定されているピッチに向けたリハーサルとしてメンターの方に事業プランをプレゼンしたのです。メンターからは「インサイトやそれに対するソリューションはいいと思うけど、お金をどうやって取るかとか他の人にマネされないオリジナル性も考えてほしい」と言われましたが、方向性はまずまずだったようです。
今はこのプログラムが終わった後のことはあまり考えていません。まずは自分が本気でやりたいと思うこのプランをピッチで通過させ、継続して企画検討ができるようにすることに全力で取り組みたいと思っています。でも、今後アイデアを成長させて事業化までを考えるような機会があれば、その時には自分の周りの人を巻き込みたいですね。私の周りにはすごい人たちがいっぱいいますし、人と議論しながら進めることで、あらゆる角度から物事を考えることができるのです。そして真剣な議論が自分の中にあるインサイトも引っ張り出してくれるのです。これは今回学んだ大切なことのひとつですね。

Labでのプレゼンの一コマ

しっかり仕事も両立

いかがでしたか?社会人2年目とは思えない深い考察と落ち着きをたたえた西海さん。これからのジヤトコを担う若い世代が一層楽しみになってきました。次回はイノベーション技術開発部の猪上さんのインタビューです。業務の中で普段からイノベーションを考えている猪上さんはどのようにこのプログラムを捉えているのでしょうか。お楽しみに。

9月4日(月)に行われる社内向け「アントレプレナーシップイベント」では今回の武蔵イノベーションプログラム参加者による真剣なピッチ(投資家へのプレゼンテーション)や武蔵イノベーション事務局の方とプログラムに参加している社員によるパネルディスカッションなどを行います。事業にイノベーションを起こし続けるプロフェッショナルな現場をのぞいてみませんか?

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